やまと(倭)は国のまほろばBlog

美しい国日本を守るため歴史、経済、政治面から社会についての思想的考察を行います

グローバリズムとその信奉の理由

今日は、今まで散々言ってきたグローバリズムとは何かを語ります。

1.グローバリズムとは何か

そもそもグローバリズムとはなんぞや。といった議論は最近しばしば見られますがグローバリズム(新自由主義)というイデオロギーは1980年代に登場しています。

  • 人、物、金を市場の中で自由に活動させることによって全体が潤う
  • 個人的には裕福な者の収入が増えると、そういった人たちが消費して社会全体にお金が回る(トリクルダウン効果)

というのが骨子で、これを信奉し世界中、そして日本でもグローバリズムに突っ走ってきましたが、結果は前日述べたように海外に出てゆく事でリスクも高まり、大企業で巨額の赤字を計上し、弱体化してきています。

グローバリズムは、人や金が自由に動き回る事ができるので、作業自体もコストが安い所を求めてゆく。結果として賃金が上がらない。実際国内の実質賃金指数は’15年を100とすると’90年度で110でしたが、’16年度でも100.7とずっと下落し、’90年度の賃金に戻っていません。皆貧乏になってきている。

こういった考え方の中では、企業側は業績向上の為に非正規雇用をどんどん拡大してゆこうといった話になります。実際、経団連では平成7年に「新時代の日本的経営」という提言で、グローバル化を背景とした国際的な経済競争の強まりによって生産性の向上とコスト削減が追及されなければならないとして、派遣労働の規制緩和を求め、進めています(安倍政権は是正しようとしていますが、その矛盾については別途)。

どんどん企業は弱体化し、個人の実質賃金の推移をみてもずっと下降状態ですが、ますます何の為のグローバリズムなのか??

2.グローバリズム信奉の理由

 ここまでひどい状況を招いているのにもかかわらず、日本ではまだグローバリズムを進めるんだ。といった議論が主流ですし、会社の中でも国内需要は伸びない、海外事業の拡大を目指せ。といった話が当たり前のように語られています。

やればやるほど貧乏になっていっているのに、どうしてこういった状況が生まれるのか一つには、グローバル化といった考え方が変遷してきているに、それを明確に理解してきていない。ということがあげられるかと思います。

元々世界中の貿易はGATTという仕組みの中で’47年から’95年まで運営されてきました。GATTでは物の貿易をどうしてゆくか。互いに関税をどこまで対応するかといった物中心の議論だけで、資本の流動化を制限するなどかなり限定されたものでしたこれをブレトンウッズ体制とも言います。

日本では戦後間もない時期だったこともあり、輸出も伸び、’95年までGDPが飛躍的に伸びました(下グラフ参照)

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日本は家電、車など輸出産業で伸びてきたことは間違いありませんし、それがもとで全体的に豊かになってきた。これは間違いないですし、これをストップさせることは産業がダメになるという思い込みがあると思います。

但し、この仕組みは’95年にWTOが始まって以来、その内容が大きく変わってきています。一番大きな変化はモノ以外のサービス、情報通信、金融、知的財産といった物まで自由貿易の対象にしようとするもので、それにより資本の移動に関しては殆ど制限がなくなってきています。グローバル経済の枠組みが大きく変わっているにも関わらず高度経済成長の時代の経験のまま自由貿易がいいことなんだ。と認識し続けている。

いい意味で各々の国の産業を保護しつつ、自由貿易を追及する。特に資本の移動に関しては非常に気を使った状況の下で経済発展してきたのであり、全てが取り外された中で発展してゆくわけではない。ということを個々人が認識しなければなりません。

実際日本の経済界はこの20年程の間に会社がいくつも吸収合併され、事業売却といった話が横行しているのは述べた通りです。 

ymahoroba.hatenablog.com

 

グローバリズムが悪だと言っていますが、それは上に述べたような考え方としてのそれが間違っていると言っているのであり、輸出そのものが全部ダメだなんていうような事を言っているわけではありません。国と国との関係である程度制約を設けた形で進めないといい事はないんですよ。と言っているだけです。インターナショナルな関係が重要という事です。

もう一つの理由は、欧米の学者、エリートが言った事が全て正しいという欧米信仰でしょうか。事実、歴史をを検証せずにすぐ飛びつきそのまま実行し、知らんぷり。そういった風潮、行いがグローバリズム延命の原因でしょう。

3.グローバリズム終焉の兆し

 とはいえもう既にグローバリズム終焉の兆しは始まっています。

アメリカでトランプ大統領が出現し、アメリカンファーストを宣言していますし、イギリスもEUから離脱し、自国の事は自国で決める。と決断しました。

トランプ大統領の言動につき面白可笑しく報道されていますが、所謂ラスト・ベルト地帯の動労者の雇用を守る。メキシコからの不法移民を排除してアメリカ人の雇用を守る

といった至極当たり前の考え方がトランプ政権を登場させた事を重要視しなければなりませんし、イギリスもEUといった大きな枠組みの中で活動していれば、経済も全てよくなる。といったイデオロギーから自国の事は自国で決める。という判断を下しました

これらは従来のグローバリズム新自由主義)を否定した事例でもあります。

所謂、国民中心の国家に戻ろう。という動きです。今までは全て市場原理の中で自動的に最適化が行われるので、国家の役割はどんどん小さくしてゆくべきだ。という考え方が主流でしたので、全く真逆の方向にギアは切られています。

グローバリズムから国民国家への回帰はもう既に始まっていると見るべきでしょう。これに関しても我々日本人はよく理解すべきと思います。